風に吹かれて

早期退職後の自由でわくわくする暮らしを綴りたいと言いつつ、寂しくて貧乏な暮らしになるかもしれません

ハンドクリームをぬってあげる、ぬってもらうの絶大なメンタル効果

今週から平日の午後毎日「フリーター家を買う」というドラマが放送されている。

2010年のTVドラマの再放送。

 

二宮和也演じる25才のフリーターが主役である。

浅野温子演じる母親は、うつ病で精神状態が不安定で「薬を飲んだか分からなくなった」「薬がどこにあるか分からなくなった」といちいち息子に電話をかけてくる。

父親が病気に対して理解をしめさず、協力もしないので息子が頼り。

 

息子の二宮くんは優しくて、母親に寄り添おうと心をくだく。

「ハンドクリームぬろうか」と言って毎晩、お母さんの手にハンドクリームを塗ってあげるというシーンが沢山出てくる。

そうしている間は、お母さんも落ち着き不安がやわらぎ、息子の母親へ思いやりの表現として描かれている。

 

自分のことしか考えてないちゃらくて頼りない息子が、フリーターを卒業しきちんと就職を果たし、母親のために家を買うという成長物語である。

 

※これ、小説もおもしろいです、夫が買っていたようでいつのまにか家にあったのでちょうど最近読んだとこだった。

 

それから次、「母性」。

昨年映画にもなったが(永野芽郁ちゃん主役、母親役は戸田恵梨香)、映画にハンドクリームのシーンはなかったと思うが、私は先に小説を読んだので(小説の方が登場人物も多く、痛々しく苦しいです)、小説には母から娘がハンドクリームをぬってもらうというシーンが出てくる。

母の愛情がほしくて、でも母の愛情はいい子であることの条件付きで無条件には与えられない娘の苦しみを描くシーンとして登場する。

母に認められたくて必死な娘が、母にハンドクリームをぬってもらうということで、母の愛をやっとのことで確認できた気がしてこの上ない喜びを感じるというシーンである。

そして、またハンドクリームをぬってもらいたいと渇望するが、二度とぬってもらえないまま、自殺にいたるのである。

 

そして次、これは私の実体験。

12,3年くらい前だろうか。

当時の私はメンタルが崩壊寸前だった。

心療内科にも通い、1年くらい睡眠導入剤を飲んでいた。

 

仕事と育児と家庭を一人でまわすのが限界だった。

朝早くから夜寝る前まで、交感神経をマックスにしてやらねばならぬ多くのタスクをこなしていた。あとで思えば当時かなりの貧血でもあった。

仕事も高速道路で遠距離通勤していたし、上が高校生になって弁当作りが始まっていたし、娘二人は思春期で生意気だったし、夫はあいかわらず仕事が多忙を極め夜遅く11時半くらいにしか帰らなかった。

 

ある日、ずっとお世話になっている近所のダスキンのおばさん(20くらい年上)がダスキン交換に来て、ついでにダスキンのハンドクリームをおすすめしたのだったと思う。

ダスキンさんは私のメンタルが崩壊寸前だとはもちろん知らずに、元気がないなくらいは思ったかもしれないが、多分営業で、商品のハンドクリームをぬってくれたのだ。

「ちゃちゃっとぬるのでなく、手にもつぼがあるからこんなふうにつぼを押さえたり、指先はあれやすいから丁寧に、こんなふうにね、じっくりぬりこむのよ。」

と言ったかは覚えていないが、そんな感じでゆっくり丁寧に両手を取ってぬってくれたのである。

 

じゃあねと帰って行ったと思うが、そのあと私は不覚にも涙が出た。泣いた。

心が温かくなって、ほぐれていくようだった。

こういう風に誰かにいたわってもらいたかったのだと、うれしかった。

その相手は近所のダスキンのおばさんでさえ、いいのである。

 

ハンドクリームをぬってあげる、ぬってもらうことは、コミュニケーションとして相手の心をほぐす即効性のある絶大な効果があると知った出来事だった。

なので、記載した二つの小説のハンドクリームのシーンにはものすごく共感する。

大切な人に優しさやいたわりや応援の気持ちを示したいとき、ぜひハンドクリームをぬってあげてください。

 

それ以降ダスキンのハンドクリームももちろん買うが、それは無臭でべたつかずとてもいいですが、私の好きなハンドクリームは「ニールズヤード」というイギリスのブランドの「ガーデンミント&ベルガモット」、これを毎年買っている。

 

甘くない香りがよくて大好き💛