もうすぐ公開される映画「四月になれば彼女は」のCMを見かけるようになり、映画も楽しみだが、その前に原作小説を読んだ。
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小説の中にサイモン&ガーファンクルの名曲「四月になれば彼女は」を口ずさむシーンが何度か出てくる。
この曲名がそのまま小説のタイトルになっている。
初期の名曲らしいが私は知らなかったので、どんな曲かとyoutubeで検索し聞いてみた。
2分ほどのごく短い曲、ポール・サイモンの物悲しいけど明るい希望もあるようなギター、アートガーファンクルの高く透き通る歌声、なかなかよいです。
July, she will flyの「フラアーーーイ」なんて、とっても悲しい気持ちが伝わる。
歌詞も調べてみたら、なんと美しい抒情的な詩。
ポール・サイモンは詩人なのですね。
「四月になれば彼女は」ってなんか、文法的にどういう感じ?と思ってたのが解決というか納得したので、感想を書いておこう。
April come she will*1
When streams are ripe and swelled with rain;
May, she will stay,
Resting in my arms againJune, she’ll change her tune,
In restless walks she’ll prowl the night;
July, she will fly
And give no warning to her flight.August, die she must,*2
The autumn winds blow chilly and cold;
September I’ll remember.A love once new has now grown old.
*1*2は倒置法。
April she will comeだと「4月に彼女は来る」だけど、April come she will と倒置法を用いると、4月がとうとう来る、やっと4月が来る、という春の訪れを喜ぶ感じが強調される。
4月が来て彼女が来るというところ「四月がくれば彼女は」というのが、実は名訳なのですね。
4月とともにやってきた彼女、5月までは僕の腕の中にステイしてくれてるけど、6月にはもう心変わりが・・・
7月にはなんの予告もなく、フライ飛んで行っちゃった。
8月には死んでしまった。
秋の風がちりちり冷たく吹いている。
9月には思い出している、新しい恋もoldになってしまったこと。
ええっ死んじゃったの??早い!たった半年で・・・
彼女は蝶かなにかで、はかない恋の擬人化かな。
8月には冷たい風が吹くなんて、歌の舞台はアメリカではなく、北欧だと思った。
小説の中にもアイスランドにいる場面が出てくる。
4月と9月だけ「,(カンマ)」がない。
4月は倒置法によるもので、April come とshe will comeの2つのcomeがあるからだと分かるが、9月はなんでだろう。
I'll remember September ということだから、9月に思い出すというよりも、9月のことを思っているんだ。
恋がoldに変わってしまった9月のことを思っている、という男の悲哀だな。
「恋とははかなくうつろいやすいもの」を北欧の美しく短い春夏の季節になぞらえた歌詞なのだ。
そして美しさを増しているのが、韻を踏んでいる言葉のかずかず。
April will
May stay
June tune
July fly
August must
September remember
日本語にはない英語の響きの美しさが感じらる。
きれいな歌詞だなあと思ったので、本のカバーに書いちゃった。
だいたいいつも私が読んだ本はあとに夫が読み、友達のA子ちゃんが読むので、これ見ながら読んでねと教えてあげようっと。
小説は「大恋愛小説」であり、「若くて(そう若くもないが)未熟な二人の成長物語」であり、この前に読んだ「傲慢と善良」にそっくりだった。
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この2冊を続けて読んだので、どっちがどっちか混乱するほどだった。
どっちもとてもおもしろかった。