実家は県外で年に数回しか帰らないが、5月6月と続けて帰ったので、地元の旧友にとってもとっても久しぶりに会うことになった。
年賀状のやり取りだけは続いていた高校時代の友人。
今年の年賀状に3月で退職する旨を書いていたので、電話をくれて病気じゃないよね?何かあったのかと心配してくれて、退職後落ち着いたら会おうよとなった。
数えてみると、お互いが新婚当時に会ったきり、多分28年ぶり、とか?
当時彼女たち夫婦がご主人の仕事でサンフランシスコにいたから、私らは遊びに行って車でいろいろな観光地を案内してもらったりしてお世話になった、あれ以来だ。
久しぶりすぎて、会うのが怖いけど・・・すごく変わってたらどうしよう、お互い。
学生時代の旧友に会うのって、かなりエネルギーがいる。
30代前半くらいまではたまに会ったりしていても、30代後半40代ともなると結婚してても独身でも、子供がいてもいなくてもほぼ間違いなくみんな忙しいし、境遇が違いすぎると話が合わなくなってくる。
年賀状はやりとりしても「会おう」とはなかなかならなかった。
私も彼女も余裕ができエネルギーが出てきたタイミングがちょうど会ったということだろう。
「久しぶり~。よかった!全然変わってない。」
「いやいや、変わったよ。」
「でも、それなりにだよ!」
「28年ぶりだよね?何から話そうか?・・・って感じだね」
「だね。いろいろあったよね。ないわけないね。お互いね」
じゃあ、まずは離婚から聞こうか?(電話で聞いてびっくり)
彼女は離婚後、子供を連れて実家へ戻り、その後両親と土地から探して家を建て、子供は社会人となり家を出ていき、現在は認知症の母を父と介護しながらなかなか大変な毎日を送っていたが、その母を施設に預けることができたから、やっと心にも時間にも余裕ができたのだという。
子供が小学校入る前くらいに離婚して、そのあと親元から学校に通い「理学療法士」の資格を得て病院などで働いているのだそう。
実はうすうすそうかなとは思っていた。年賀状が家族連名とか夫婦連名から、個人に変わるときって、女性の場合わりとそういうことは多い。夫婦仲がわるいかな?と思っていた。苗字は戻してなかったから。
苗字を旧姓に戻さなかったのは理由があるのだそう。
元夫は大学で研究とかやってて、その研究で事業もやってて、新聞に載ったりしてその業界ではちょっとした有名人で、「離婚したことを公言しない」が約束だったのだそう。
離婚して20年くらい経つけど、誰にも言わなかったからほんとの身内しか知らないことだったそう。
「離婚を公言しない」約束って、初めて聞いたな。そんなパターン。
凡人にはたいしたことじゃないが、偉い人ともなると「離婚」はものすごくマイナスイメージで損するってことなんだな。
相手は今も独身なんだそう。
そのあとは、お互い親の病気や介護の話が1時間くらい。
それと私の記憶力のなさを思い知らされた。
「私たち高校のときはそんなにつきあいなかったけど、大学4年生のときに教育実習で母校に一緒に行ったときから仲良くなったよね?」
「え?一緒に?」
「えー覚えてないのー」
「教育実習に行ったことはもちろん覚えているけど、一緒だった?」
「そうだよー、もう一人いて3人で行ったんだよ。私が車だったから帰りはいつも2人を乗せて、よかよかちゃんをますバス停でおろして、もうひとりを別のバス停でおろして」
「えー、まったく覚えてない」
「よかよかちゃんの実家にも行ったことあるよ。送っていったのだと思うけど、お母さんがおでんを出してくれたよ。」
「え?うちに来たことある?お母さんにも会ったことある?」
「覚えてないのーひどーい!!よかよかちゃんの大学の下宿にも泊まりに行ったよ」
「え?下宿先に泊まりに来た?うそ」
「そのとき、たまたまよかよかちゃんのお母さんも用事か何かで来てて、帰り一緒に乗っていくね?というので、お母さんの車に乗せてもらって送ってもらったのよ。」
「え?うちのお母さんと二人で、車で帰ったの?」
「そうだよー。なんも覚えてないね。よかよかちゃんにとってはどうでもいい記憶なんだね。ひどーい」
確かにひどい。なんも覚えてない。
それに比べて友人の記憶力すごすぎる。
これはどっちが標準なんだろうか・・・
でもよかった。全然変わってなかった。いまでも話が合う。
お互いの28年を早口であらすじだけ話して、あっという間の3時間。
まだまだ足らないが、これからは時々会おうよと言って、彼女の住む家を教えてもらってまたねと別れた。