クラブメッドは独特なので、好き嫌いがはっきり別れる。
一度行ったけど、二度と行かないという人を何人か知っている。
客層はまず富裕層。
子供向けのサービスが充実しているから日本人も外国人も子連れファミリーが多い。
でもうちのように、一般庶民なんだけどスキーが好きで、共働きで必死に働き年に一度の大イベントとしてやってくるファミリーもいて、そういう人たちとは話が合う。
中高年のお一人様やお二人様、リタイヤ後くらいの年齢のグループというのもけっこういた。
「スキーに一緒にくるお友達がなかなかいないけど、ここなら一人で来ても楽しめるから」というおじさまやおばさまもいた。
うちみたいに九州くんだりから一日がかりではるばるやってくるファミリーは少なく(でもちらちらいた)、東京からが多かった。
羽田からだと帯広空港に直行便があり、朝出発しても当日の午後からすべることができる。
最終日も午前中すべって、午後から帰る。
週末を利用して2泊3日でちょいちょい来ているというファミリーが多かった。
毎年来てると顔見知りのファミリーもできてくる。
東京系は夫が白人系、妻が日本人という国際カップルもものすごく多かった。
その子供たちのかわいいことといったら!!
子供の世界の方が多様で、バリエーション豊かだった。
クラブメッドの売りというか方針というのが、食事時は同席した人とおしゃべりとコミュニケーションを楽しみましょうというのがある。
レストランはすべて10人がけくらいの丸テーブルで、座席は案内された席に座ることになっており、似たような属性のお客と相席になることが多かった。
日本人同士。子供がいるファミリー同士。
なので外国人の席に案内されるということはなかった。
(台湾とか韓国人と一緒にテーブルに着くことはあったかな)
※のちに改装され、4人掛けや6人掛けのテーブルができ、相席が嫌な人にも対応可となった。
一つのテーブルには一人のGOがやってきて、一緒に食事をとる。
GOも食事時の客とのコミュニケーションまでが仕事のうちなので、フレンドリーに話しかけてくる。
客もここにいる以上はこういうものだと心得ているので、話しかけたり話しかけられたりするのが普通で、ものすごく盛り上がることもあるし、全く盛り上がらないこともあるが、この席でいろんな人のお話を聞くことができるのは、私はとてもおもしろかった。
GOもいろんな経歴の人がいて、人生いろいろだと、何でもありだなと思えた。
50で医者をやめてスキーが好きすぎてGOになった女性とか、夏は福岡の糸島でスキューバダイビングのお店をやってて冬だけこっちに来てるとか、世界中のクラブメッドを転勤してまわっているGOとか、GOの話だけでも相当おもしろかった。
レストラン前に掲示板があり、明日のアクティビティ(サホロの場合はほとんどの人がスキー)に申し込みをする。
スキーのクラスはレベルによって分けられており、前日申し込んだ人数によりクラスが二つになったり、当日の朝掲示板に担当GOが発表される。
「やった、きのうと同じ日本人の先生だ!」
「あー今日はオーストラリア人か。言葉が分かるかな」
「あーこのGOはがんがんスピード出すんだよね。午後からは抜けようかな」とか悲喜こもごも。
私は夫と友達ファミリーと行ったわけだけど、みんなレベルが違うので、一緒にすべるのは半日くらいにして、やはりそれぞれのレベルに合ったスクールに参加した方がレッスンを受けて上達するからおもしろいのである。
この友達というのは、仲良しのA子ちゃんである。
夫たちはスクールというものがあまり好きではないらしく、一人で滑っていることが多かったな。私とA子ちゃんはクラスは違うけど、スクールに入ることが多かった。
よそのお宅もそうなのか、クラスにいるのは女性が多い。
ここでもまた、ゴンドラに乗ればいろんな奥様方のお話が聞けたりするのである。
富裕層の奥様方の話は、私など庶民にしたら「へええええええ」と思うことがいっぱいあって、午前の話はランチのときに、午後の話は夕食時に「今日こんな人がいた」「今日こんな話をきいた」とA子ちゃんと情報交換し、それだけで毎日話題がつきない。
A子ちゃんファミリーとは5,6年一緒に通ったかな。
だけど3年目くらいには旦那様と長女ちゃんはいなくなった。
二人とも見知らぬ他人とのコミュニケーションはめんどくさいタイプ。
こういうタイプはクラブメッドは楽しくない。
我が家は10年以上、長女が高2くらいまで毎年通った。
夫は仕事で来られない年もあったり、遅れて途中から参加とか、A子ちゃんたちは先に帰るとか、いろいろだったけど、クラブメッドならたとえ夫がいなくても、子連れ旅行もなんとかなるし、実際母と子だけで来てるファミリーも多かった。
最後に来たのは私の母が亡くなって四十九日が終わったあと、長女20才二女16才か。
もうスクールには入らずに、すっかり大人になった子供たちとみんなで一緒にすべってそれはそれでとても楽しかった。一緒にお酒も飲めちゃうし。
家族の成長と歴史を刻んだ思い出深いクラブメッド。
夫などは俺が死んだら墓はいらんけん、サホロの山に散骨してくれなどと冗談で言っていたほどである。
サホロに一千万くらい使ったんじゃないかな。
だけど、投資額にあまりある経験と思い出だ。