風に吹かれて

早期退職後自由を手に入れ、二拠点生活を楽しんでいます

富良野ラベンダー畑で聞いた怒声で興ざめ

富良野のラベンダー畑を見に行った。

3年ぶり2回目。

前回来たのは2021年7月、コロナ禍でちょうど東京オリンピックのとき。

新千歳空港に降り立つやオリンピックのデコレーションが華々しくされていて、あーそういえば札幌も開催地だったね(マラソン)、本来ならもっと盛り上がってるだろうにと、閑散とした空港をむなしく思った。

 

あの時は我々はまだ公務員夫婦だったので、コロナによりいろいろと行動制限もあるなか夏季休暇を取って、こっそり北海道旅行をしたのだった。

その頃思いついたばかりの「第二の人生わくわくプラン」の第一歩として、夫の転職先候補を見に来たのだった。

地域おこしの担当者(市役所の人)にアポを取り会ったりもした。

 

なんてことを懐かしく語らいながら、やっぱり今回もファーム富田に行って、最後に定番「ラベンダーソフト」と「メロンソフト」を買って、ベンチに座って食べ始めたとき、それは起こった。

 

となりのベンチにはアラフィフくらいのご夫婦と70代くらいの女性の親子とおぼしき3人が座っていた。

その3人に向かっていきなり怒声をあびせる男性が現れた。

突然大声がしたので見るとアラフォーくらいの男女ふたりがベンチの前に立っていて、男性の方がベンチに座っている男性に向かってどなっていた。

 

だんだんヒートアップしていく。

ベンチの男性はごにょごにょ返していたが、その返しにさらにヒートアップ。

ベンチの女性が「すみません。こちらが悪かったです。謝ります」

と言い始めたが、立ってる男性は

「謝れ!!お前じゃ!!ボケ!!カス!!」

※「クソ、死ね」だったかもしれない(関西弁ふうだった)

※たった3日前のことなのになんと言ってたか、もう覚えてない。私のボキャブラリーでは再現できない。

 

「謝ります、すみません」とベンチの女性が何度か言うが、女性に謝ってる感はあまりなく、口だけという感じは見るからに分かったので、男性の怒りはおさまらない。

「謝れ!!こっちはな、花見に来とんじゃ!!遠くから」

「それはこちらも同じです」(なんじゃそら)

 

状況から推測するに、ファーム富田までの道路には長い長い車の渋滞があった、たぶん渋滞の車中でカチンとくるようなトラブルがあったのだろうと思う。

駐車したあと、追いかけてきてベンチに座っている3人を見つけて文句をつけた風だった。(だって突然始まったもの)

携帯に録画しているものを消せ、とも言ってるようだった。

携帯の画面を見せて消すところを確認している風でもあった。

 

私はソフトクリームの陰から、ちらちらと盗み見していたが、となりのベンチなので距離にして3,4mだが内容はよく分からなかった。

その場の空気がいっぺんで変わっていやーな空気になったのははっきりと分かった。

 

どうおさめるんだろうと固唾をのんで、盗み見を続けていたが、そろそろソフトクリームがなくなるか、くらいの時間がたったが収まらない。

男性がひたすら大きな声で怒鳴り続けている。

これだけの時間、公衆の面前で、怒りのエネルギーを持続させて怒鳴り続けるのって、すごい。

この人の脳の中ではどういう回路が作動しているのだろうかと思ったりした。

だけど、大声の怒声を近くであびるというのは、関係ない他人でもいやな気持になるし、消耗する。

 

連れの女性が「もういいじゃない」「謝ってるじゃない(女性の方が)」「もうやめてよ」「やめて」

「恥ずかしいっ」

の一言でちょっとだけ、ひるんだようだった。

怒鳴りながらも連れの女性に連れ去られた。

 

ソフトクリームはまだなくならないので、今度は去って行った方向を盗み見していたが、歩きながら、立ち止まりながら、連れの女性に向かってどなり続けていた。

手を出すんじゃないかと心配したが、それはなかった。

 

怒鳴り声はまだ続いていたが、ソフトクリームがなくなったので、「行こか」と我々も立ち去った。

 

「連れの女性が気の毒。ほんとにかわいそう。私なら明日には別れるね」

「今からラベンダーを一緒に見てもちっとも楽しくないだろうね。私ならもう帰るかな」

「でもああいうのからは簡単に逃れられないからね。走って逃げても追いかけられるな」

「タクシーもこの渋滞じゃこないし」

「どうにかして帰って荷物まとめて出て行くかな。だけどある程度準備には時間かけた方がいいからな。いったんは一緒に帰るしかないか」

 

など、いろいろ言ったが夫はいっさい乗ってこなかった。(つまんない)

「私なら、はもういいんじゃないの」

「確かに。せっかくのラベンダーが最後、いやな気持になったね」

 

でも私はしばらく考え続けてしまった。

怒鳴る相手がもし、がたいがよくマッチョな大男だったら、日本語できない外国人だったら、一緒にいたのが女二人でなくこわもて三人組だったら、あんなに怒鳴ることはしなかっただろう。

ちゃんと相手を選んでるはずだ、脳が。

だとしたらあれは何なのだ、ただのストレス発散なのか?

大事な人を失うかもしれないというのに(失わないかもしれないが尊敬はされない、信用はガタ落ち)。