私は九州に自宅があるが、夫の住む北海道とおおむね3か月ごとに行ったり来たりの二拠点生活をしている。
9月に九州に戻ってきて一番にしたことは、お隣の奥さんが亡くなったためおくやみに行ったことであった。
お隣に住むのは80代のご夫婦。
ちょうど私の親と同世代で、通ってくる子供たちも私と同世代で、昔ときどき見かけていた孫たちもうちの子供たちと同世代。
奥さんは以前からリウマチやら病弱で出歩くこともなく、きれいなお庭のお手入れはいつもご主人の役割。
それを時には縁側で日向ぼっこしながら眺めていたり仲の良いご夫婦。
お隣の庭と我が家の駐車場が接しているので、ご主人とはちょいちょい顔を合わせたまには挨拶以上の言葉も交わす。
庭の梅で漬けた梅干をもらったり。
3年くらい前かな、高齢のためとうとう車も手放され、買い物や病院のつきそいに私と同世代の50代の二人の子供がひんぱんに出入りするようになっていた。(車と自転車で分かる)
それが春頃からは平日は娘さんが毎日、土日は息子さんが終日来るようになっていた。
聞けば奥さんが入院されたので、一人残ったご主人の食事の世話に毎日来ているのだと言う。
ご主人はそうじやゴミ出しはできても、台所と洗濯はやったこともなく全くできないのだそうだ。
隣なのでなにかあれば声かけてくださいと娘さんとも連絡先を交換したりした。
病弱な奥さんが今年の2月頃、うちの玄関をピンポンして訪ねてきたことがあった。
「いつもサーっと通り過ぎられるから、お話したくても声かけることができなくて、ちょっとお話したくて来ました」と。
いつも柔和な笑みをたたえたおだやかで上品な奥さんなのである。
だけど最近は家の外に出ることも減って会うことも少なく、立ち話もしていなかった。
我が家の家族の近況を尋ねたり、自分のからだの調子が悪いこと、病院通いのことなどをお話していかれた。
ずいぶん弱っておられるのがそのとき分かって、私なんかとの会話だけでも元気が出る様子だったので、その後はサーっと通り過ぎずに足をとめて、玄関先に立っていらっしゃるようなときにはなるべく声をかけるようになった。
2月3月はそんな感じで数回お話したのです。
だけど3月の終わりころから入院されてなかなか退院できずにいたところ、私は6月に北海道へ移動し、まさかこのまま会えなくなるとかないよね、と思っていた。
北海道にいると遠く離れたお隣のことなんてあまり思い出すこともなかったのだが、8月のある日、私は奥さんが亡くなってご主人が悲しみにくれて泣いている夢を見た。
朝起きてその夢のこと夫に話したから内容もよく覚えている。
その3日後だった。
二女から「お隣の奥さんが3日前に亡くなったって。娘さんと息子さんがお菓子持ってあいさつに来たよ。お世話になったからって。きのうお葬式が済みましたって。」
驚いたーーーー
亡くなった日と私が夢を見た日はたぶん同じくらいなはずだ。
夫も二女もみんなで驚いた。
そういうことは意外とよくある話のようだ。
おばあちゃんが亡くなった日夢に出て来たとか。
きっとお別れのあいさつにこられたのだと思う。